新生児の気胸
新生児の肺は水っぽいため、気胸になっても成人のように虚脱してくることは多くない。
胸部レントゲン写真上は肺実質の間質にリークする形で認めることが多く、縦隔近くだと、縦隔陰影が鮮明化する。
新生児の頻呼吸などで心エコー評価の際に、なぜだか観察が難しく、レントゲンを見てみると気胸だったというパターンで築かれることもしばしば。
~新生児期の気胸~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
空気漏出症候群
新生児では肺がかたく、肺を膨らませるのに高い圧が必要です。約1%の頻度で自然に気胸が発生し、不穏状態、多呼吸、チアノーゼなどの症状を呈することがあります。胎便吸引症候群、呼吸窮迫症候群、新生児一過性多呼吸などの呼吸器疾患を有する児ではより高率に気胸を合併することがあります。人工呼吸管理や蘇生操作も気胸の原因となります。肺胞から漏れた空気は肺実質内に貯留し間質性肺気腫の原因となり、また気胸、気縦隔、心膜気腫、皮下気腫、気腹などの原因ともなります(空気漏出症候群)。
続発性気胸
気管支喘息や肺感染症(ブドウ球菌性肺炎、肺結核、百日咳など)、気道異物などを原因とし気胸が発生することがあります。特に、乳幼児期のブドウ球菌性肺炎は重症になりやすく、気胸や膿胸を合併しやすいことが知られています。
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【原因】
呼吸窮迫症候群(もっとも多い)
⇒肺サーファクタントが欠乏しているため、肺が膨らみにくい
⇒人工呼吸器管理していると、肺胞が破れやすい
胎便吸引症候群
⇒成熟した胎児が低酸素にさらされると、腸管の蠕動が活発となり、肛門括約筋もゆるむ
⇒胎便が排出され、呼吸をしたときに吸い込んでしまう
⇒空気がトラップされ、肺過膨張となる
あまり一般的ではないが、健康な新生児でも生じうる
⇒第一呼吸は、肺を膨らませるために強い陰圧の吸気が必要
女児より男児の方が頻度が高い
【症状】
- 気胸となった新生児のほとんどは症状がない
- チアノーゼ
- 多呼吸、鼻翼呼吸、呻吟呼吸
- 陥没呼吸、シーソー呼吸
- 興奮、不穏
【検査】
- 聴診で気胸と判断するのは困難
⇒体が小さいので、心音や正常な肺音を聴取してしまう
- 胸部レントゲン
- 光ファイバーで透光性があるかどうかを見る
【治療】
- 無症状であれば、経過観察でOK
- 呼吸状態、心拍数、酸素飽和度、皮膚の色を観察する
- 症状があるときは、胸腔ドレーンを挿入する
- 数日~数週間でよくなる
- 緊張性気胸となることもあるので、注意が必要である