産婦人科ノート

駆け出し産婦人科医の忘備録です。覚書程度、実臨床では正式なデータを参照してください。

小児 体重増加不良

正常な子供の発育にはある程度目安が存在し、そこから著しく外れるものには正しく介入することで、重大な疾患の早期発見や合併症の予防が期待される。

 

小児の体重増加不良は産後すぐに産院で気がつかれたり、乳幼児健診で気づかれることが多い。多くは哺乳や食事接種の指導で改善することが多い。

 

生後、産院に入院しているおよそ1週間ほどの間には、新生児の体重は日齢1、2日目では生理的に減少する。その後は生後3ヶ月ほどまではおよそ30g/日程度ずつ増加していく。平均して3000gで出生すると、3ヶ月頃には倍の6kgまで体重が増えていることが一つの目安である。

 

生後すぐ、産院にいる間の体重増加不良の原因には母乳の与え方、母乳不足、児の嘔吐(胃軸捻転の長軸タイプは新生児には生理的に存在することが多い;胃軸捻転 — 日本小児外科学会)などがある。助産師による指導やミルクの追加、体位などの工夫で改善する場合が多いので、それらを観察し、必要に応じて介入していく必要がある。

それらの介入でも改善が無い際、体重が増えない、むしろ減少が続く際には小児科医の診察が考慮される。

 

胃軸捻転の長軸タイプなどは授乳後の体位変換(縦抱きや右側臥位)で改善されることも多く、成長に伴い座位や立位を取れるようになってくると改善してくる。腸に便やガスが溜まっていると胃の捻転も強くなることがあるので、肛門刺激や浣腸で排泄(胎便も含め)を促すことも有用である。

 

胃軸捻転と違い、腸回転異常症に続発する中腸軸捻転;腸回転異常症 — 日本小児外科学会は 緊急オペの適応になることが多く、手術後にも短腸症候群など重篤な後遺症を残す危険があるため、疑われれば緊急での対応が必須です。

多くは生後1ヶ月以内に捻転が起こり、激しい症状(胆汁性の嘔吐、腹痛、ショック)がおきますが、稀に年長児の腹痛や間欠的な嘔吐で初めて診断されることもあるため、そのような症状の小児を見た際には腹部レントゲンで右側腹部のgas less像がないか、十二指腸横行部が正常かを確認する必要があります。

 

 

4ヶ月検診などで引っかかってくる際には口腔過敏など児の素因も考慮される。

必要なら入院で授乳や栄養指導、ゲップなどの出させ方を指導すると良い。

治療が必要な疾患が隠れている可能性や、発達障害の初期症状の可能性も考慮されるので小児科医のフォローアップを検討する。

 

 

ミルクをどのくらい飲めれば良いのか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

新生児、乳幼児は体重を維持するために100kcal/kg/day必要とされる。

そこから逆算してどの程度ミルクを1日で飲めていれば良いのか考えていく。

 

母乳が100mlで65kcal

市販のミルクもだいたいその程度なので、

15kgの小児の場合、1日に最低必要なカロリーは15kg × 100kcal/kg/day = 1500kcal/day

それをミルクで補うと、2300ml/day程度はミルクが飲めないと成り立たない。

1日6回の授乳だとすると、1回の授乳あたり、400ml程度が必要となる。

 

*実際には15kgの小児は離乳食が始まっているのでミルクで全て補う必要はない。

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