NCPR 呼吸の安定化
NCPRのプロトコールでは
努力呼吸やチアノーゼに対しては2次性無呼吸として安定化の流れに入ります。
講習会では基本的にプロトコールに従えば解決するシナリオが多いかと思いますが、
実際にはもう少し細かなアセスメントが必要です。
多くのお産では、プロトコールに沿わなければならないほどの呼吸窮迫には
滅多に至らないからです。
例えば、
正期産で経膣分娩で出生し、第一啼泣は娩出直後、筋緊張も良好であった場合
基本的にはルーチンケアに移行します。
保温、皮膚乾燥、気道開通、そしてさらなる評価。
このさらなる評価というのが曲者です。
それなりに多くの新生児が、このさらなる評価の際に、
多呼吸や努力呼吸、無呼吸などの呼吸トラブルを示すためです。
- 背中を刺激してやれば泣いて呼吸はするけど、やめるとすぐに呼吸をサボる
- 泣き止むと少し鼻翼呼吸がある
などが多いかと思います。
こういったパターンを示す新生児には、施設ごとに対応が違うかもしれません。
あまり新生児管理に慣れていない場合、
これらの所見を示す新生児の安定化の道筋がつけにくいことがあります。
そういった際には、まずはしっかり啼泣させることが1番です。
2、3分間、しっかり啼泣させ、肺をしっかり広げた上で、改めて呼吸状態を評価する。
それで安定しない場合、
まずはフリーフロー酸素投与(特に、ブレンダーの必要ない手をカップ状にする簡易法)を試すことが良いでしょう。
それで安定してしまえば、酸素濃度25〜30%程度のクベース管理で安定化が計れる場合が多いです。
フリーフロー酸素投与でも呼吸状態が改善してこない場合にはCPAPを試してみる。
基本的には高濃度酸素ではなく空気で行うが、
空気配管やブレンダーがなく、100%酸素しか使用できない際には、
酸素毒性の問題はあるが、ひとまず100%酸素のCPAPで安定化を図るほかない。
一過性の呼吸窮迫で、改善してしまえば、やはり酸素25~30%のクベース管理で安定することが多いと考えます。
それでも安定化が測れない際には、
遅くともこの段階で小児科・新生児科に診察依頼すべきです。
該当科が院内におらず、搬送が必要な場合には、
救急車内でさらに呼吸状態が不安定になり、挿管する事態にならないよう
(救急車を一度止めて、挿管しなければならないような状況は避けるべき)
挿管のタイミングを搬送先とよく相談する必要があります。